The Spare Times  〜人生のスキマ時間を愉しむ〜

バリキャリワーキングマザー、アラフォーにして主婦デビュー。 突然訪れた人生の隙間時間をゆるりと楽しみつつ、次のステップを模索しながら迷走する毎日。最近お仕事再開+ときどきタロット占い師。

私には無理だったファッション業界の”常識”

ファッション業界で働いてすごく驚いたことがいくつかあって、そのうちの一つが「こんなにファッションに命かけてる人が本当にいるんだ」ということでした。

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私はとある外資系のラグジュアリー・ファッション・ブランドでデジタルマーケティング担当をしていたことがあります。デスクの目の前に座っていたのはPR担当。
ファッション業界におけるPRはまさに花形職業。ブランドを体現する存在であり、ブランドによっては他の業界で言う所のマーケティングプロモーションも担う、ブランドのファンを作るためのブレーン的存在でもあります。

 

PRは全身をブランドの最新シーズンのお洋服とアイテムで固めるものとされているそうです。昨シーズンのものは基本着られません。社員割引は効くけど、セールになる前に定価で買うので安くても十万弱、高いと20万円を超えるものもたくさんありました。
靴もバッグも財布も名刺入れも、すべて自社ブランド。毎日が全身総額ン万円という世界です。

 

平日は仕事があるので基本的に自分のブランドの服しか着られません。休日も、どこで取引先や編集者と出くわすかわからないので、あからさまに他社ブランドだと分かるものは着られない。

 

でも、着たい!!

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そうすると、所有欲を満たすためだけに、着られない服や持てないバッグを買うこともよくあるそうです。

 

一番びっくりしたのは、PR担当に「毎月どれくらいお洋服にお金使うの?」と聞いたら「わからない」という答えが返ってきた時。

最初は「いちいち計算してられないくらいたくさん使ってるのか」と思ったら、どうも様子が違う。よくよく聞いてみると、欲しいものはローンを組んででも買うので、ローンの返済だけでも月々相当な額になっており、その月にいくら使ったかなんてもはやわからない、と。

 

 

お洋服をローンで買う

 

 

ブランドもののバッグをローンで買うんじゃないんです。
日々のお洋服を、常にローン組んで買ってるんです。

 

異次元を除き見た気がした瞬間でした。

 

 

自社ブランドの服は、売ることもできません。就業規則にちゃんとそう書いてあります。中古品が出回ると価格が崩れるし、ブランドイメージも毀損します。最大限譲歩して、知り合いに譲る程度。

でもそのうちそんなに譲る先もなくなって、家がパンクしそうになるくらい自社ブランドのお洋服やアイテムで溢れかえる。

 

そこでさらに驚いたのが

 

お洋服に愛着がありすぎて一切捨てられない

 

中にはお洋服を保管するためだけに倉庫やアパートを一室借りていたり(でもその洋服はほぼ確実に二度と着られることはない)、広い家に引っ越したりしている人もいました。

 

 

アンビリーバボー

 

 

 

あれだけファッション・コンシャスな男性にたくさん出会ったのも、後にも先にもブランドで働いていた時だけでした。伊勢丹バイヤーみたいな、UOMOとかSafariとかLEONを地で行く感じの人がいっぱいいました。

 

私からしたらあの人たちは異星人にしか見えなかったけど、彼らからしたら数年前に買ったユインクロのウルトラストレッチデニムを恥ずかしげもなく履いている私の方がよっぽど宇宙人に思えたに違いない。

 

 

 

ちなみに、ファッション業界にも転職はあります。
ブランドを複数抱えているような大きなグループ会社だと、ブランドAからブランドBへの異動もあるそうです。

その度にお洋服もバッグも小物も総とっかえするんだって!!

 

 

 

いろいろな理由があり早々に離脱したファッション業界でしたが、いままで出会ったことのない人に出会うことができたという意味では非常に収穫が大きい転職でした。
朝から晩までどこそこのショップで見かけた何が可愛いとか、どこそこのブランドのクリエイティブ・ディレクターが変わって今後どう変化していくのかみたいな話題で盛り上がれる人が本当にこの世の中にいるなんて!
この目で見るまでは妖精さんと同じくらいその存在を懐疑的に思っていたので、実在することを確かめられただけでもめっけもんでした。

 

 

ファッション・フリークに幸あれ。