The Spare Times  〜人生のスキマ時間を愉しむ〜

バリキャリワーキングマザー、アラフォーにして主婦デビュー。 突然訪れた人生の隙間時間をゆるりと楽しみつつ、次のステップを模索しながら迷走する毎日。最近お仕事再開+ときどきタロット占い師。

【#14 読書三昧】『茶色のシマウマ、世界を変える』石川拓治

世の中には、バイタリティも頭脳も、そして使命感も持ったほんとにすごい人がいる。 

軽井沢に全寮制のインターナショナルスクールを、それも日本の高校として認められた学校を作ってしまった小林りんさんという方の生い立ちから学校設立までを追ったドキュメンタリーです。 

 

主人公の小林りんさんは、ピッカピカに眩いばかりの経歴の持ち主!参ったか!って感じ。

学歴[編集]

1990年東京学芸大学附属高等学校入学し、1991年に同校を中退、ユナイテッド・ワールド・カレッジカナダ校、ピアソン・カレッジ入学した。1993年に同校を卒業(在学中に国際バカロレアディプロマ資格取得)し、1998年には、東京大学経済学部卒業(在学中は開発経済を研究する中西徹助教授(当時)のゼミに所属)した。 2005年スタンフォード大学大学院国際教育政策学修士号を取得。

職歴[編集]

1998年からモルガン・スタンレー(日本法人)に勤務。2000年に、ラクーン勤務[1]、その後2003年からは、国際協力銀行JBIC)勤務し、2006年からは、国連児童基金UNICEF)のプログラムオフィサーとしてフィリピンに駐在、ストリートチルドレンの非公式教育に携わる 2009年インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢設立準備財団(ISAK)代表理事に就任

 (Wikipediaより)

 

…参りました。

 

 

「リーダーを育てたい」

この本は、この小林りんさんへのインタビューをベースに書かれているのですが、本の中で繰り返し出てくるのが、小林りんさんの「リーダーが必要」という強い思いです。

 

リーダーの定義として「地位やポジションではなく、社会にポジティブな変革をもたらす人」だと小林りんさんは語っている。

 

リーダーという言葉は、時として誤解を招くことがある。
組織の上に立って、みんなを引っ張って行く人が必ずしも良いリーダーとは限らない。極端に言えば、組織を悪い方向へと導いてしまうリーダーもいるわけだから。
自分たちが育てるのは「地位やポジションとしてのリーダーではない」といくら説明しても、たとえば政治家や起業家のような、いわゆる社会的リーダーを育成する学校だと勘違いされるおそれがある。もちろん、そういう方向を目指せ雨生徒はいるかもしれないけれど、それがISAKの目的ではない。
ISAKは、一握りのエリートを育てる教育機関ではない。育てるのは社会のあらゆる場所で、そこに生きる人たちのために、新しい何かを生み出せる人間、世界を変える人材だ。
そのことを明確にするために、現在ではチェンジメーカーという言葉を使うことが多くなっている。

 「茶色のシマウマ、世界を変える」P257-258

 

この部分は、本を読んでたくさん共感した中でも最も心に残ったところです。

 

会社で仕事をしている時や、最近では1号の学校でPTA的な活動に関わる中で頻繁に遭遇するのが「できない人もいるので、そういう人でもできるようにしましょう」と、使うツールを制限したり、あえて効率の悪い方法を採用してしまうこと。敢えて言うなら「レベル低い人に合わせて全体のレベルを下げる」ような選択をしてしまうのです。

関わっている人が全員参加できるようにしましょう、というのはフェアで正しいことのように思えます。だけど、そこで「レベルの低い人に合わせるべきだ」とか「レベルの高い人しかできない方法を採用するとレベルの低い人が取り残されてしまい不公平だ」となってしまうと、結局全体としてのレベルを下げることになってしまい誰も得をしない状況が生まれてしまいます。

PTAは適切な例ではないかもしれないけど、レベル高い人がレベル低い人に阻まれて実力が発揮できなかったり、より効率的あるいは高度な活動が妨げられてしまう。そしてそれが何度も続けばモチベーションを維持できなくなってしまいます。これは組織全体にとって大きな損失です。

「リーダーが必要」と言った時に「一握りのエリート」ではなく「社会のあらゆる場所で、そこに生きる人たちのために、新しい何かを生み出せる人間、世界を変える人材」だと言ったところで、結局必要なのは同じことだと思う。

そういったマインドを持った人、高い能力を持った人がモチベーションを下げることなく活躍して世界を変えていく。

 

今より一歩二歩先のビジョンを見せてくれる、そこに近づく道筋をつけ、具体的な計画とアクションに落とし込み、多くの人がその先にある世界の恩恵を受けられるようにしてくれる、そんなリーダーの存在を後押しし、感謝できる社会でありたいと思います。

 

 

題材となっているインターナショナルスクールが軽井沢にあり、滞在先の別荘の二軒隣にこの学校の出資者の一人もいらしたりして、勝手に身近に感じながら背中を押されるような、そして誰かの背中を押せる自分でありたいと思いながらの読書でした。