下駄を履いているのは誰だ 〜男性管理職の半数は女性部下を平等に評価しない?!
先日クオータ制について思うところを書きました。
そしたら「 女性こそ正当に評価されていないんだからまず制度ありきと思うのです」というコメントをいただきました。激しく同意します。
そもそも男性が猛烈に高い下駄をはかせられているんだから、今更女性にちょっとやそっと下駄履かせたくらいじゃ追いつかないくらい女性は不利なんだよ、と思いつつエビデンスがあった訳ではないのでそこまで声高に述べなかったのですが…
こんな感じね。(画像拝借しました)
管理職に占める男性の割合が9割で、そのうち半数が男女の部下では平等に評価や昇進させないという記事を読んで
「やっぱり男性猛烈に下駄履いてるじゃん!!!!」
と思ったので改めて記事を引用しつつこのあたりを整理してみます。
ダイバーシティが命な外資系IT企業で女性が半数以上を占めるようなマーケティングチームで長らく仕事をしてきた私にとって、女性上司は全く珍しくない存在だし、今時男女で評価に差をつけるとか信じられないと思っていたのですが、世の中にはまだ歴然と男性優位差別が存在するんだという風に認識を改めさせられました。
コーヒー片手にスマホでこの記事読みながら、思わずマグカップ落っことしそうになるくらいに衝撃受けました。
最初に紹介している記事には分かりやすい図やイラストも載っているのでぜひ読んでみてほしい。
では順番に。(今日のは長いです。)
今までのキャリアの半分以上は女性上司のもとで働いてきたので、管理職の9割が男性という事実に改めて衝撃を受けました。私の認識は相当ずれている、と肝に銘じておいた方がよさそうです。
そっか、世の中のワークフォースはまだ圧倒的な男性社会なのですね…
男性と女性とどちらの部下が使いやすいかは、男性の3人に1人強が「男性」を選び、「女性」は4.5%だけ。
評価云々の前に、まず女性の方が使いやすいと思ってる人が4.5%しかいない。男性の方が使いやすいと感じている人は36.3%いるので、その差は実に8倍。
「人による(37.0%)」と「どちらも同じ(20.8%)」が過半数というのがせめてもの救いでしょうか。
男性が使いやすい理由で目立ったのが「言いやすい・話がしやすい」や「気を使わなくていい」。次いで「同性だから」。「セクハラの心配がない」という声もあった。
「残業をさせやすい」「女性は深夜勤務を頼みにくい」など男性の方が「無理が利く」という理由はあったが、「仕事ができる」「のみ込みが早い」といった能力の高さは意外に少ない。
しかも理由がしょーもない。
ビジネスの現場で「言い難い」「話がしにくい」「気を使うから」と女性を避けてるとか、多感な思春期の高校生や大学生じゃないんだから、と呆れます。
それに、男性だから残業させていいのか、男性ならセクシャルな話をしたりしてもセクハラにならないのか。
男性だって残業したくてもできない事情がある人もいるだろうし、早く帰って勉強したりプライベートな時間を楽しみたい人だっているだろうに、そこに対する想像力は全く働いている様子がありません。
体育会系なノリで男性ばかり集まっている会社だと「会社の飲み会の二次会が風俗」とか「昼間から憚ることなく卑猥な話をする」っていうのを聞いたことがあります。うちのダンナさまが昔いた会社が”22時まで仕事して飲みに行ってそのままみんなで風俗”っていうカルチャー(?)だったそうですが、ダンナ様はかなり苦痛で理由をつけては飲みを断っていた、と後になってぼやいていました。
今の時代、外見が男性だというだけでみんな内面も等しく下ネタ好きな男性っていうわけでもなかろうに、ここにも想像力の圧倒的な欠如が感じられます。
さらに絶望したのが次の調査結果。
女性部下がいて良くなったと思うことを選択肢から選んでもらった(複数回答)設問で、半数近くの男性が挙げたのが「職場が明るくなる」(47.8%)と「職場が華やぐ」(47.3%)。次いで「雰囲気が良くなる」(42.3%)。
それに比べると「多様な視点が生まれる」(33%)や「職場が活性化する」(18%)といった仕事の内容に関する項目の比率は低い。女性上司が「コミュニケーションが良くなる」(36%)を2番目に多く選んだのと違いが見られた。
「女性がいてくれるとチームの雰囲気が華やかになっていいよね」って、いつの時代だ!多様な視点が生まれると感じている人が3割いるだけでも救いと思うべきか…
これでは”職場の華”にならない女性は、男性上司からは扱いづらいと敬遠される上に存在理由も感じてもらえないということになってしまいます。
甲斐甲斐しく雑用を引き受け、女性らしい服装と明るいトーンの声で視覚聴覚的に華やかさを演出し、飲み会ではお酌をしたりすることが求められるということなんでしょうか。そしてそれらが苦手だったり趣味じゃなかったりした場合は「いて良かった」と思ってもらえないのでしょうか。でも仕事は普通の男性社員並にキチッとやっていたとしたら?
私自身、ファッションもメイクも好きだけどいわゆる”OLさん”らしいファッションやメイクが苦手だし、自分がアルコール飲めないせいもあってお酌は苦手です。もういい加減中堅も過ぎてビジネスのアウトプットで勝負すべきだと思ってるし、子育て中で時間の制約がある中では申し訳ないけど無制限に雑用を引き受けている余裕はありません。
相手によってコミュニケーションの仕方を工夫することはあっても、ビジネスシーンで「男性だから」「女性だから」という性差を前提として立ち居振る舞いを変えることはしないし、もちろん評価を変えることもありません。
しかもビジネスシーンではことさらにアドレナリンが出てしまう体質で、ガッツリとアグレッシブに仕事に取り組みます。
・・・扱いにくいと思われるんだろうな・・・
・・・いて良かったってあんまり思われないんだろうな・・・
そして極め付け。
女性部下の育て方で自分に当てはまるものを選んでもらった(複数回答)ところ、「男性部下と同じように仕事を割り振る」「男女区別なく評価し、昇進させる」を選んだ男性は半数強。
つまり、管理職全体の9割を占める男性のうち実に半数近くは「女性には男性と同じようには仕事を割り振らない」「男女は区別して評価し、昇進させる」って言ってるわけです!!
積極的に女性差別を掲げる人はさすがにいないでしょうが、無意識的にというよりも、これはもはや意識的に女性差別を否定しない人が半数近くいるとは。
女性管理職が増えないわけだし、妊娠出産を機に辞めてしまう女性が後をたたないのも頷けます。この手の記事はこれまでもたくさん読んできましたが、ここまで絶望感を味わったのは久々でした。
続いてこちら。
女性の登用に賛成する男性管理職は9割近くにのぼる一方、6割が子どもが3歳くらいまでは母親は育児に専念すべきだと考えている――。日本総合研究所が昨年、40代~50代の男性管理職516人を対象に行った意識調査では、根深い性別役割分業意識が浮き彫りになった。女性部下とは仕事がやりづらいと感じたことがある人も65%にのぼる。
記事ではさらっとこう述べられているにとどまっているので機会を改めてソースの調査結果についても整理してみたいと思いますが、ここで着目すべきは3歳児神話の根強さです。6割近くが3歳くらいまでは母親は育児に専念すべきだと考えていて、しかもこの数字は自分自身に子供がいたとしてもあまり変わらないという調査結果も見たことがあります。(ちょっとソース探せなかったのですが、見つけたらリンクします。)
この記事では具体的に娘さんの就職を機に意識が変わったという男性が紹介されているのですが、それくらい身近な体験でないと女性が働くということへの想像力が働かないということでもあります。
職場における多様性や女性の活躍が増えて行くということは、身近に働く女性が増えることによって男性に気づいてもらう機会を増やすという意味も非常に大きいのだなと感じました。
女性部下が扱いづらいと感じられる理由も、「対応に慣れていない」とか「コミュニケーション取りづらい」というところが大きくあるので、もうこれは本当に慣れの問題だなと。
女性の部下や同僚、あるいは上司と一緒に働くことに”慣れていただく”ことからはじめるためにも、クオータ制のように強制的に一定数の女性がいる状態を作ることは大きな意味があると改めて思います。
ソースの調査結果がまた突っ込みどころ満載だったのですが、そちらは機会を改めます。
つまり女性もみんなこんくらい高い下駄履かないと、そもそも勝負にすらならないってことなんですね。
歩きづらいよ・・・