The Spare Times  〜人生のスキマ時間を愉しむ〜

バリキャリワーキングマザー、アラフォーにして主婦デビュー。 突然訪れた人生の隙間時間をゆるりと楽しみつつ、次のステップを模索しながら迷走する毎日。最近お仕事再開+ときどきタロット占い師。

「絶対」と言う口癖は若い時だけにしておこうと思う(そして私はもう若くない)

「絶対」が口癖の人のはなし。

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その方はとてもエネルギッシュで、アイデアも経験も豊富で、正義感に溢れ、モリモリと音を立てて仕事を進める感じの人。と同時にどこか職場人気質のところもあり、こだわりが強く、細かくやり方を共有するというより見て習え的な親方っぽさもある。

職場でもとても存在感があり、皆に一目置かれる方でした。

 

うー、歯にものが挟まったような言い方したけど、えい、白状します。

悪い人では決してないんです。本人会社を良くしたい、良い結果出したいと一所懸命なんです。悪気もない。でも、何かみんなでその人に気を遣ってしまい、顔色伺ったり、面と向かって議論するのを避けたりしてました。
社歴が長く、年齢も高めでチームをマネージすることが期待されるような立場にあり、でもなぜか部下とうまくいかないためマネージャー業務はしてません。いい人なんだけど、ちょっと苦手なんだよね…という声を何人から聞いたことか。

 

みんなが気を遣ってしまう理由は色々とあったのですが、その一つがその人の口癖だったんじゃないかと思うのです。

 

「絶対いいよ!」「絶対ありえない!」

 

「それいいね」「私は違うと思う」とフラットに答えられるときも、いつも全力。
「絶対!」
だって、口癖だから。

 

 

たとえそこに悪意はなくとも、「絶対」と言われると調整や交渉の余地がないように感じられてしまう。そして強い言葉なので無意識のうちに相手の方が主導権を握っているように錯覚したりもします。

 

 

20代の子が「絶対いいと思うんです!」なんて何事にも全力でぶつかってたら、まあかわいいと思えるかもしれない。
でも40過ぎてポジションも上の人が毎回「絶対!」って繰り返すのはかわいくもなんともなく、周りを萎縮させてしまい、微妙過ぎる空気と距離感を生んでいました。特に否定が「絶対にありえない」っていうのは、口癖だと分かっていても必要以上に否定された気持ちになってしまうし、まして部下だったり気が弱かったり、口癖だと気づいていなかったらしたらかなり萎縮させられてしまう強さがある。

 

 

上の人にそのつもりがなくても、上司や先輩に報告したり意見を言うのは、それが決して悪い内容でなく建設的なものだったとしてもプレッシャーのかかる行為だと思います。だからこそ上の立場の人は意識してオープンでウェルカムな態度を取り、自分が思う以上に相手を受け入れる気持ちを表に出さないといけないなと、アラフォーになった私は思うのです。

組織としては、指揮命令系統ははっきりと定義されて守られることが大切かもしれませんが、誰もがオープンに意見を言えることはそれ以上に大切なこと。そしてオープンに発言できる空気というのは、日頃からかなり意識して作り上げる必要があります。ローマは一日にして成らず。

それは折に触れて周囲の意見を聞くことであり、相手に「どう思う?」と問いかけることであり、日々の何気無い雑談の積み重ねであり、そしてどんな発言な意見も真っ向から否定したり、叩き潰したりしないことで培われる信頼感の蓄積です。

 

 

 

子供の頃、空に何本も何本も飛行機雲ができているのを発見して、興奮して父親に「見て!飛行機雲がたくさんできてる!10個くらいあるよ!」と伝え時のことを未だに覚えてます。父は空を見ようともせず「そんなことはありえない。嘘をつくな、少しだまってはさい」とピシャリと私を黙らせたのです。

父は運転中で、私は長いドライブに飽きて歌ったり喋ったりし通しで、今思えば父はただ疲れてうんざりしていただけなのかもしれません。

でも子供の私にとって、空を見ることもせずに否定されたことはとてもショックなことでした。その後、私は何か面白いものを発見しても、父に言ったらまた否定されてしまうだろうかと考え、興奮のままに伝えることをしなくなりました。厳しかった父に、私はいつも、何なら話しても大丈夫か、今は話しかけても大丈夫かと顔色を伺うようになりました。

父の何気ない言葉はそれくらいインパクトがあったのです。(多分父はこのことを全く覚えていないと思う。)

 

 

立場が上の人は、それだけでパワーがあります。それは良し悪しではなく、社会的文化的に私たちが積み上げてきた価値観です。
だからね、タダでさえパワーを持ってるんだから、言葉や態度はよりコントロールしてオープンにしないと、力で勝ってしまう。勝つ必要がない場面でも。

 

 

「絶対」が口癖だったら、年齢とともにその口癖を引っ込める訓練をした方が良い、と、私は小さい頃の父親との思い出とともにこのことを胸に刻んだのでした。

 

 

もう一つ、「絶対」の口癖を引っ込めた方が良いと思う理由は、狼少年のように周囲がその口癖に慣れてしまいスルーするようになるから。本当に「絶対いい!」「絶対ダメ!」っていうときに、「あぁまたか、話半分くらいで聞いておこう」ってなってしまう。

 

その人も、すごくいい事言っていることも多いけど、一部の人はどんな話であれ内容を理解しようとする前にスルーするようになってました。「絶対」に、本当に伝えたい大切なことが隠れて見えにくくなってしまった。そういうフィルターを一度かけられてしまうと、外すのは容易ではありません。

 

 

 

♪絶対にmaybe stray cats路地裏の〜って歌ってたアムロちゃんは当時ティーンエイジャーでしたっけ…